博物館教育論– category –
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レオナルド・ダ・ヴィンチのノート思考法とは― 絵・文字・仮説で思考を前に進める方法を認知科学から解説
はじめに|ダ・ヴィンチのノートは「読みにくい」――だからこそ価値がある レオナルド・ダ・ヴィンチのノートを初めて目にした人の多くは、戸惑います。そこには、完成された理論も、美しく整った文章もありません。代わりにあるのは、途中で途切れた文章、... -
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美術鑑賞で脳はどう変わるのか? ― 脳科学が示す「思考が整う」メカニズム
美術鑑賞はなぜ「頭がすっきりする」と感じられるのか 美術館を出たあと、「よく分からないけれど、頭が軽くなった」「考えが整理された気がする」と感じた経験は多くの人にあります。強い感動や明確な学びがあったわけではないのに、どこか気持ちが落ち着... -
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美術館でしか生まれない鑑賞体験とは何か ― 実験室との比較から考える
美術館と実験室ではなぜ鑑賞体験が異なるのか 美術館で作品を鑑賞するとき、私たちはしばしば「同じ絵でも、図録や画面で見るのとはまったく違う」と感じます。この直観は単なる思い込みではなく、美術鑑賞研究の中で繰り返し示されてきた重要な知見です。... -
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美術館の親子鑑賞は価値観をどう共有するのか ― ピノー親子の事例と最新研究から読み解く「未来への投資」
はじめに ― 美術館の親子鑑賞は、ビジネスパーソンにとって最良の「未来への投資」 現代のビジネスパーソンに共通する悩みのひとつに、「子どもとの時間をどう確保し、どう質を高めるか」という問題があります。仕事が忙しくなるほど、親子の会話や共有体... -
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ピカソの多作はなぜ創造性を生んだのか|学術研究が示す「量が質を生む法則」とビジネスに活かせるアート思考
はじめに ― ピカソの多作は何を語るのか ピカソは、生涯に七万点を超える作品を残したとされるほど、多作の芸術家として知られています。絵画に限らず、素描、版画、彫刻、陶芸といった多様なジャンルで圧倒的な制作量を生み続けたその姿は、美術史の中で... -
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IDEOとMoMAに学ぶアート思考:正しい問いを生む方法とデザイン思考の限界
はじめに アート思考という言葉は、この数年で急速に広まりました。企業研修や新規事業の文脈で取り上げられ、「正解のない時代に必要な思考法」として注目を集めた一方で、多くの現場では十分な成果につながらないまま流行が落ち着きつつあります。なぜア... -
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スティーブ・ジョブズはなぜ創造的だったのか―カリグラフィーとアート教育が生んだデザイン思考
はじめに スティーブ・ジョブズは、現代でもっとも創造的な経営者の一人として語られ続けています。革新的なプロダクトを次々と生み出し、テクノロジーとデザインを融合させる独自の哲学を築いた背景には、どのような学びがあったのでしょうか。彼の卓越し... -
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なぜミケランジェロだけが突出した成功を収めたのか|創造性×財務リテラシーで読み解くアーティストの成功モデル
はじめに ― ミケランジェロはなぜ突出した成功を収めたのか ルネサンスには、レオナルド・ダ・ヴィンチやラファエロをはじめ、驚くほど多くの才能が集まりました。美術史上でも屈指の創造的時代に、なぜミケランジェロだけが圧倒的な存在感を放ち続けたの... -
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アーティストはなぜイノベーションを生むのか サルバドール・ダリとチュッパチャプスのロゴ誕生にみるアート思考とブランド戦略
はじめに 現代の組織が直面する課題は、これまで以上に複雑で、単純な因果関係では捉えきれないものが増えています。市場や技術の変化が急速に進むなかで、既存の知識体系や分析手法だけでは十分に対応できない場面が多くなり、企業は「正解のない問題」を... -
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博物館での美術鑑賞はストレスを減らす? ― 科学的エビデンスからみる癒し効果
博物館での美術鑑賞はストレスを減らせるのか 現代社会では、仕事や生活のプレッシャーから多くの人が慢性的なストレスを抱えています。ストレスは心身の健康に影響を及ぼし、高血圧や免疫機能の低下など、さまざまな疾患のリスクを高めることが知られてい... -
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博物館は“学びの再創造”の場になれるか? ― アート・ベースド・ラーニングが拓く経営と教育の新地平
アートと経営教育の接点 ― 博物館で問われる「創造性」とは 博物館における芸術作品は、従来「鑑賞」や「保存」の対象として捉えられてきました。しかし近年では、芸術が来館者の学びや気づきを促す教育的・創造的な手段として位置づけ直されつつあります... -
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博物館で育てる思考力 ― 理論・実践・エビデンスで読み解く教育的役割
博物館教育における思考力育成の意義 現代の教育現場では、知識の暗記や再生よりも、情報をもとに考え、判断し、表現する力が重視されるようになっています。アクティブラーニングや探究的学習の導入が進む中で、学校外での学びの場として博物館に期待され... -
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博物館リテラシーの涵養とは何か ― 学びと参加を支える力を育てる視点から
はじめに:展示を見る力から「読み解く力」へ かつての博物館は、知識や文化財を体系的に提示し、来館者がそれを「正しく理解する」ことを目的とした場所と捉えられていました。展示を注意深く観察し、解説パネルを読めば、それで知識が得られるという前提... -
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人はなぜ博物館に足を運ぶのか ― 来館者の訪問動機を読み解く視点
はじめに:来館動機を知ることは、博物館経営の原点である 博物館を訪れる人々は、どのような思いでその扉をくぐるのか。この問いは、展示や教育プログラム、広報活動を計画する際の根幹に関わるものでありながら、日々の運営の中では見過ごされがちな視点... -
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博物館の連携による教育活動とは何か ― 他館・教育機関・企業との協働から考える
はじめに:教育活動の場としての博物館、そして「連携」の意味 博物館は、単に資料を展示・保存する空間にとどまらず、来館者にとっての学びの場としても重要な役割を果たしています。近年では、学校教育や地域社会における学習機会の多様化に対応するかた... -
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生涯学習における博物館の役割とは ― 教育と社会参加を支える場として
はじめに 近年、人生100年時代という言葉に象徴されるように、人々の暮らし方や働き方が大きく変化しつつあります。高齢化の進展、テクノロジーの進化、職業の流動化といった社会的背景のなかで、一人ひとりが自らの学びを主体的に選び、継続することの重... -
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博物館教育の理念とは何か ― 学びの場としての存在意義を再考する
はじめに:なぜ「理念」を問うのか 博物館では、子ども向けワークショップや学校との連携授業、来館者を対象としたガイドツアーなど、日々さまざまな教育活動が行われています。こうした活動は、展示と並んで博物館の重要な機能のひとつとして定着していま... -
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博物館教育の意義とは何か ― 学び・共感・社会参加を支える5つの視点
はじめに ― なぜいま「博物館教育の意義」を考えるのか 「博物館教育」と聞いて、どのようなイメージを思い浮かべるでしょうか。学校団体の見学ツアー、ワークショップ、展示解説、あるいは親子で楽しむ週末のイベントかもしれません。たしかにこれらは博... -
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博物館のアウトリーチ戦略 ― 地域とつながる活動の設計と評価
はじめに:なぜいまアウトリーチが注目されるのか 博物館にとって「アウトリーチ」とは、単に館内のプログラムを外に持ち出す活動にとどまりません。それは、従来の来館者中心のサービス提供を超えて、博物館が自ら地域に出向き、対話や協働を通じて新たな... -
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学びの場としてのミュージアム —— 教育プログラムの設計から始める
はじめに:展示を超えた学びの空間へ かつて、ミュージアムの主たる使命は「文化財や美術品の収集・保存・展示」にあるとされていました。いわばミュージアムとは、貴重な遺産を厳格に管理し、それを一般に公開することで文化的価値を社会に伝える場で... -
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ミュージアムと健康:文化がもたらす心身の癒し
ミュージアムは、単なる学習の場ではなく、私たちの健康にも大きな影響を与えることが近年の研究で明らかになっています。展示を見て知識を深めるだけでなく、芸術や文化に触れることでリラックスしたり、ストレスを軽減したりすることができるのです。ま... -
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医療の「観察力」を磨く──VTSがもたらす診断精度向上の新たなアプローチ
医療従事者にとって、患者の症状や微細な変化を正確に把握する観察力は、診断や治療の精度を左右する極めて重要な能力です。医師や看護師をはじめとするさまざまな医療専門職が、視覚的な手がかりを適切に読み取り、迅速かつ的確な判断を下すことが求めら... -
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ミュージアムが医療教育を変える!観察力・共感力・コミュニケーション力を高める革新的トレーニング法
医療現場では、診断能力や患者対応力を向上させるために、観察力、共感力、コミュニケーション能力、そして不確実性への耐性が重要視されています。従来、これらのスキルは医学教育の中で、講義や実習を通じて学ばれるものでしたが、近年では、より創造的... -
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医療チームの結束力を高める!VTS(Visual Thinking Strategies)の驚くべき効果
はじめに 病院におけるチームワークの重要性は、多くの研究によって証明されています。特に、医療の現場では、医師・看護師・技師・事務スタッフなど多様な職種が協力し、患者の治療にあたる必要があります。そのため、効果的なコミュニケーション能力や相... -
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VTS(Visual Thinking Strategies)が医学部生の診察力向上につながる理由
はじめに 医学部生が診察力を向上させるためには、観察力、批判的思考力、コミュニケーション能力のすべてが不可欠です。これらの能力を鍛える方法として、近年Visual Thinking Strategies(VTS)が医学教育の分野で注目されています。VTSはもともと美術鑑... -
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大英博物館でこどもお泊まり会
ミュージアムに子どもたちが楽しく過ごすためにはどのようなことができるのでしょうか。 こども家庭庁が日本にできて子どもが中心の社会を実現しようと政府をあげた取り組みが進み始めています。 国立科学博物館では「こどもファスト・トラック」といった... -
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ヴィジュアルシンキングストラテジーズを実践してリーダーシップをつける
先の記事にて医学部生の観察力を高めるためにヴィジュアルシンキングストラテジーズ(以下、VTS)を実践していることを紹介しました。 VTSを実践することは対話型鑑賞を通じて観察力を養うだけでなく、他の見方を対話を通じて知ることができるというメリッ... -
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医学部のVTSワークショップで画像診断の質を上げる
先の記事にてなぜ医学部生向けのVisual Thinking Strategies(以下、VTS)のプログラムが始まったのかについて紹介しました。 ブレイバーマン氏は、「今日の医師は実際に患者を診察するのにほんの短時間しか費やさず、代わりに検査や数値に頼っている」と言... -
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ミュージアムでスローアートを実践する
先の記事でミュージアムでマインドフルネス(瞑想)を実践しているケースをご紹介しました。 こちらの記事でもご紹介した通り、ミュージアムという場所は知的好奇心を満たすだけでなく、訪れた人の不安な気持ちを和らげたりするリラックス効果があるという... -
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ミュージアムで過ごすことで人が感じる不安の軽減につながる話
ミュージアムで作品鑑賞をするということは素敵な作品に出会い知的好奇心を満たすだけでなく、私達の心の不安や血圧を下げて落ち着かせてくれる効果が確認されています。 この記事ではミュージアムで鑑賞することが体にどのようにプラスに働くことがあるの... -
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Visual Thinking Strategiesで共感力を高められるのか
先の記事でVisual Thinking Strategies(以下、VTS)で医学部生の視覚リテラシーを向上させることができる事例を紹介しました。 今回は視覚リテラシーだけでなく共感力も育てることができる可能性についてお話したいと思います。 医療従事者における共感力... -
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ヴィジュアルシンキングストラテジーズについて考える
先の記事にて医学部生が視覚スキルを向上させるためにヴィジュアル・シンキング・ストラテジーズ(以下、VTS)という方法を用いて対話型鑑賞を実践していることをご紹介しました。 この記事ではそのVTSについて具体的にどのようなものなのかについて紹介し... -
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視覚トレーニングで医学生の視覚診断スキルを向上させる方法
先の記事にて絵画鑑賞トレーニングで医学生の視覚診断スキルが上がる可能性があることを紹介しました。 また、その絵画鑑賞をした後にグループになり話し合うことにより自分とは異なる視点の意見を聞くことにより、実際見ていた絵画がより多様な見え方がで... -
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医学部生向けの鑑賞プログラムが作られたきっかけ
海外の医学部では医学生の教育にミュージアムの鑑賞を取り入れていることがあります。 その取り組みを始めたのはイエール大学のアーウィン・M・ブレイバーマン氏でした。 この記事では彼の取り組みが始まった経緯についてご紹介したいと思います。 医学部... -
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ミュージアムで瞑想体験をする
ミュージアムで開催されるプログラムに展示室で瞑想をする体験が欧米で増えてきています。この記事では実際にどのようなプログラムが実施されているのかをご紹介したいと思います。 ルービンミュージアムの事例 https://www.youtube.com/watch?v=Mckxsn1fE...
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