博物館におけるマーケティングという言葉から、広告や広報、SNS、来館者を増やす施策を思い浮かべることは少なくありません。しかし、それらは活動の一部にすぎません。博物館マーケティングの役割は、単に多くの人を集めることではなく、博物館が担う使命と、社会や来館者との接点をどのように設計するかを考えることにあります。
博物館には、資料を収集・保存し、調査研究を行い、その成果を展示や教育活動などを通じて社会へ還元する役割があります。しかし、価値あるコレクションを守り、優れた研究や展示を実現したとしても、その価値が社会へ自動的に届くわけではありません。どのような人に届けたいのか、その人にとってどのような価値があるのか、どのような方法で接点をつくるのかを考えなければ、博物館が持つ価値と社会との間に距離が生じることがあります。
一方で、来館者数や認知度を高めることだけをマーケティングの目的とすれば、別の問題が生じます。限られた人員や予算を「人が集まりやすいもの」に集中させれば、保存、研究、教育といった使命や、長期的に維持すべき専門性との間に緊張が生まれる可能性があります。したがって、博物館マーケティングでは「どうすれば人を集められるか」より先に、「使命を実現するために、誰に、何を、どう届けるべきか」を考える必要があります。
博物館へのマーケティング導入が最初から当然に受け入れられていたわけではありません。McLean(1995)は、その受容が一様ではなく、導入を妨げる要因も存在していたことを示しています。使命とマーケティングをどう両立させるかは、以前から博物館経営の論点でした。
重要なのは、マーケティングを使命の代わりに市場の要求を優先する仕組みとして捉えるのではなく、使命を社会のなかで実現するための経営プロセスとして捉え直すことです。そのためには、価値を届ける相手を理解し、何を価値として提供するのかを考え、それをどのように届けるのかを設計し、さらに結果から学ぶ必要があります。本記事では、この一連の流れをたどりながら、博物館は、使命を損なうことなく、誰に、どのような価値を、どのような方法で届けるべきなのかを考えていきます。
博物館マーケティングとは何か
博物館マーケティングは、広告を出したり、展覧会を広報したりして来館者を増やすことだけを意味するものではありません。より広く捉えれば、博物館の使命を起点として、誰に価値を届けるのかを考え、提供する価値とその届け方を総合的に設計する経営活動です。Kotler, Kotler, & Kotler(2008)は、博物館のマーケティングと戦略を、使命、オーディエンスの形成、資源の確保などと結びつけて論じています。マーケティングは、情報発信だけを担当する独立した活動ではなく、博物館が使命を社会のなかで実現していくための戦略と深く関わっています。
この点を理解するには、マーケティングと販売促進を区別する必要があります。営利企業でもマーケティングは販売促進だけを意味するわけではありませんが、博物館ではとりわけ、単純な「売上の最大化」に置き換えて考えることはできません。何を提供するのか、誰に届けるのか、利用に伴う負担をどう考えるのか、どこで接点をつくるのか、どのように伝えるのかといった複数の判断が関係します。McLean(1997)も、博物館が提供するものをどのように捉え、マーケティングの考え方を博物館という非営利・文化的な文脈にどう適用できるのかを重要な問題として扱っています。
そのため、広告、広報、PR、SNSとマーケティングも同じものではありません。広告は費用を支払って情報を届ける手段であり、広報は組織の活動や情報を社会へ伝える機能を担います。PRは組織と社会や関係者との関係形成に関わり、SNSは情報発信や対話のための接点になり得ます。それぞれに固有の目的や機能があり、単純な上下関係で整理することは適切ではありません。一方で、誰にどのような価値を届けるかというマーケティング上の判断は、これらの活動の方向づけにも関係します。
したがって、博物館マーケティングを「どう伝えるか」から始めると、その範囲を狭く捉えてしまいます。その前に、使命に照らして誰と関係を築くのか、どのような価値を提供するのかを考えなければなりません。マーケティングとは、すでに存在する価値を宣伝するだけではなく、価値を誰に、どのような形で届けるのかまで含めて設計する経営活動なのです。
なぜ博物館の使命とマーケティングは対立しないのか
博物館にマーケティングを導入すると、「文化を商品として扱うのではないか」「来館者の好みに合わせれば人気迎合につながるのではないか」という懸念が生じます。その背景には、市場の需要を優先することで、資料の保存や調査研究といった使命が後退するのではないかという問題意識があります。しかし、マーケティングを使命と対立するものとして捉えると、博物館経営における選択の問題を見落としてしまいます。
博物館は、すべての人のすべての要求に応えることはできません。Kotler & Kotler(2000)は、博物館が固有の使命を維持しながら、より広い公衆に働きかける際の課題を、使命、目標、対象、資源配分、マーケティングの役割との関係から論じています。人員、予算、施設、時間が有限である以上、どの活動に資源を配分し、誰に働きかけるのかという選択は避けられません。マーケティングを行わないことが選択をしないことを意味するのではなく、むしろ限られた資源を使命の実現にどう結びつけるかを意識的に判断することが求められます。
その判断の起点になるのがミッションです。まず、博物館が何のために存在し、何を社会に実現しようとしているのかというMission(使命)を確認する。次に、その使命に照らして、誰に働きかける必要があるのかというAudience(対象)を考える。そして、その相手に対して博物館がどのようなValue(価値)を提供できるのかを具体化する。この「Mission → Audience → Value」という順序で考えれば、来館者の要求に使命を合わせるのではなく、使命を社会のなかで実現するために対象と価値を選択するという関係が明確になります。
また、保存・研究を重視することと、オーディエンスを重視することを単純な二者択一として考えるべきではありません。Gilmore & Rentschler(2002)は、博物館経営においてコレクションを中心とする管理志向と、オーディエンスとの関係を重視するマーケティング志向との間に生じる変化を検討しています。ここから重要なのは、保存や研究を放棄して来館者志向へ転換することではなく、コレクションや研究によって生み出される価値を、誰にどのように届けるのかまで経営上の課題として考えることです。
したがって、使命とマーケティングの関係は「専門性か、来館者か」という対立ではありません。使命が判断基準を与え、マーケティングがその使命を誰にどのような価値として届けるのかを具体化します。マーケティングは使命を市場に従属させる仕組みではなく、限られた資源で使命を社会へつなぐための経営手段として位置づけることができます。
誰に価値を届けるのか
博物館が使命を社会のなかで実現するためには、次に「誰に価値を届けるのか」を考える必要があります。ここで注意したいのは、現在来館している人だけを見て対象を考えないことです。来館者の行動や意見を把握することは重要ですが、それだけでは、博物館に関心を持ちながらまだ利用していない人や、利用したくても何らかの理由で利用できない人を捉えることができません。現在の来館者は、博物館が価値を届ける可能性のある人々の一部にすぎないと考える必要があります。
博物館が向き合う相手には、現在の来館者に加えて、潜在的な来館者、地域社会、学校など、使命や活動によってさまざまな主体が含まれます。Kotler, Kotler, & Kotler(2008)は、博物館の戦略を使命やオーディエンス形成と結びつけて論じています。重要なのは、対象を広げること自体ではなく、自館の使命を実現するうえで、どのような人々との関係を築く必要があるのかを明確にすることです。
また、対象を年齢、性別、居住地といった属性だけで理解することにも限界があります。同じ年代や地域に暮らす人であっても、博物館を訪れる目的、関心を持つテーマ、期待する体験は異なります。反対に、関心があっても、移動時間や費用、開館時間、必要な情報の不足、施設への心理的な距離などが利用の障壁となっている場合もあります。誰に価値を届けるのかを考える際には、属性だけでなく、目的、関心、期待、利用を妨げている要因まで含めて対象を理解する視点が必要です。
したがって、「すべての人に来てもらいたい」という目標だけでは、マーケティング戦略として十分ではありません。対象が曖昧なままでは、提供すべき価値も、情報を届ける方法も曖昧になるからです。誰に価値を届けるのかを具体化する方法の一つがSTPです。その考え方と博物館への適用については、博物館マーケティングにおけるSTP分析で詳しく整理しています。対象を選ぶことは、直ちに他の人々を排除することを意味するのではなく、限られた資源を使命の実現へ結びつけるために、誰にどのような働きかけを行うのかを明確にする経営判断なのです。
博物館は何を「価値」として提供するのか
誰に価値を届けるのかを明確にしたら、次に考えるべきなのは「博物館は何を価値として提供するのか」という問題です。マーケティングを情報発信から考え始めると、展覧会の魅力をどう伝えるか、どの媒体で宣伝するかという議論に向かいがちです。しかし、その前に何を宣伝するかではなく、そもそも博物館が相手にどのような価値を提供しようとしているのかを明確にする必要があります。
博物館が提供するものを、展示だけに限定して考えることはできません。McLean(1997)は、博物館という組織にマーケティングを適用するなかで、博物館が提供するものをどのように捉えるかという問題を扱っています。実際の博物館活動に即して整理すれば、その価値の基盤には、保存されてきたコレクション、調査研究によって生み出される知識、それらを社会に提示する展示や教育活動があります。さらに、建築や展示空間のなかで過ごすこと、職員やボランティアとのやり取り、Webサイトやデジタルコンテンツを通じて資料や知識に接することも、博物館と利用者との接点になります。
ここで重要なのは、これらの要素そのものと、利用者がそこから受け取る価値とを区別することです。同じ展示を見ても、専門的な知識を深めたい人、家族と時間を過ごしたい人、実物の資料に出会いたい人、学校で学んだ内容を確かめたい人では、得られる意味は異なります。つまり、博物館が展示やサービスを用意した時点で、利用者にとっての価値が一義的に決まるわけではありません。価値は博物館が提供する内容と、それを受け取る人の目的、関心、経験などが接するなかで具体化していくと考える必要があります。
このことは、博物館側が価値を設計できないという意味ではありません。むしろ経営上重要なのは、利用者が価値を見いだしやすい条件を整えることです。たとえば、重要な資料を保存しているだけでは、その意義が来館者に伝わるとは限りません。資料をどのような文脈で提示するのか、理解を助ける情報をどう用意するのか、空間をどう構成するのか、人を介した支援をどこに置くのかによって、資料との出会い方は変わります。デジタル上の接点も同様に、単なる情報掲載ではなく、博物館の知識や活動へ到達する経路として考えることができます。
したがって、博物館マーケティングにおける「価値」とは、展示を売り込むためのキャッチコピーではありません。コレクションや研究、展示、学習機会、空間、人との接触などを通じて、対象とする人々にどのような意味や経験を生み出せるのかを考えることです。この価値が実際の利用のなかでどのように形成されるかについては、来館者体験とは何かで詳しく整理しています。博物館が直接決められるのは利用者が受け取る価値そのものではなく、使命に基づいて、価値が生まれやすい条件を設計することなのです。
価値をどう実装し、届けるのか|マーケティング・ミックス
誰にどのような価値を届けるのかを決めても、それだけで価値が相手に届くわけではありません。展示やプログラム、利用に必要な費用や時間、アクセス、情報の伝え方、スタッフとの接点などが組み合わさって、利用者が経験できる形になります。そこで必要になるのが、提供価値を複数の要素から具体化するマーケティング・ミックスという考え方です。Kotler, Kotler, & Kotler(2008)やMcLean(1997)が論じる博物館マーケティングも、情報発信だけではなく、博物館が何を提供し、それをどのように利用者へ届けるのかという広い経営上の問題に関わっています。
以下では、博物館で検討すべき要素を、本記事の実務上の整理としてProduct、Price、Place、Promotion、Peopleの五つの観点から捉えます。Product(提供内容)には、展覧会、教育プログラム、イベント、デジタルサービスなどがあります。重要なのは、何を実施できるかではなく、対象とする人にどのような価値を届けるための提供内容なのかを明確にすることです。
Price(価格・負担)は入館料だけではありません。移動や滞在の時間、交通費、情報を探す手間、「自分には難しそうだ」といった心理的な負担も利用に影響します。無料であれば誰でも利用しやすいとは限らず、対象とする人が利用に際して何を負担しているのかを広く捉える必要があります。
Place(場所・接点)も建物だけを意味しません。館内での活動に加えて、Webサイト、オンラインサービス、館外で行うアウトリーチなども、利用者が博物館の価値に接する経路になります。どこで価値を受け取れるようにするのかは、誰に届けるのかという対象設定と密接に関係します。
Promotion(コミュニケーション)には、広告、広報、PR、SNSなどがあります。ただし、Promotionだけをマーケティングと考えることはできません。情報発信を強化しても、提供内容や利用条件が対象の状況とかみ合っていなければ、価値は十分に届かないからです。デジタル上の接点については、博物館におけるソーシャルメディアの役割と可能性で詳しく整理しています。
People(人)も重要な接点です。受付、案内、教育活動などで関わるスタッフやボランティアの対応は、利用者が博物館をどのように経験するかに関係します。施設や展示が同じでも、人を介した支援によって利用のしやすさや理解の深まり方は変わり得ます。
この五つの観点は、それぞれを独立して改善するためのチェックリストではありません。たとえば若い世代へ価値を届けたいという理由だけでSNSを強化しても、提供内容、利用の負担、アクセス方法などが対象と整合していなければ、戦略として一貫しません。マーケティング・ミックスとは、手段を増やすためではなく、「誰に、どのような価値を届けるのか」という判断を実際の利用や接点へ一貫して落とし込むための整理枠として捉えることが重要です。
マーケティングを経営判断と学習につなげる
マーケティングは、対象を定め、提供価値とその届け方を設計し、施策を実行した時点で終わるものではありません。実際に価値が届いたのかを確かめ、その結果を次の判断へ戻す必要があります。Kotler, Kotler, & Kotler(2008)が博物館のマーケティングを使命、オーディエンス、戦略などと結びつけて論じていることを踏まえれば、マーケティングは個々の施策ではなく、使命の実現に向けて判断を修正していく継続的な経営活動として捉えることができます。
その際、成功を来館者数だけで判断することには注意が必要です。何を実現するために施策を行ったのかによって、確認すべき成果は異なります。認知の拡大が目的なら認知の変化、利用の拡大なら利用状況、教育プログラムへの関与を重視するなら参加の状況を見る必要があります。継続的な接点を重視する場合には、再訪や関係の継続も検討対象になります。指標を先に置くのではなく、使命と目的から「何を成果とみなすのか」を決めることが重要です。
結果を確認する目的は、施策の成否に点数をつけることだけではありません。期待した対象に届かなかったのであれば、対象設定、提供価値、価格やアクセス、コミュニケーションの方法などを見直す材料になります。想定以上の反応が得られた場合にも、何が機能したのかを確認すれば、次の判断に活かせます。評価を経営判断へ接続する考え方については、博物館の評価とは何かで詳しく整理しています。
この関係を実務上整理すると、Mission(使命)→ Audience(対象)→ Value(価値)→ Delivery(実装・提供)→ Learning(学習)→ 次の判断という循環として捉えることができます。これは既存研究で確立された固有の理論名称ではなく、Kotler & Kotler(2000)やKotler, Kotler, & Kotler(2008)が論じる使命、目標、オーディエンス、戦略などの関係を踏まえ、Museum Studies JAPANが博物館経営の実務に向けて整理した枠組みです。ここでは、この循環を「Museum Marketing Cycle」と呼びます。
この循環で重要なのがLearningです。得られた情報をもとに、対象、提供価値、届け方についての前提を検証し、必要に応じて次の施策を修正することで、経験が組織の学習につながります。博物館マーケティングとは、一度決めた戦略を繰り返すことではなく、使命を基準に社会から得られた反応を学び、次の判断を改善し続ける仕組みでもあるのです。
課題に応じてマーケティングの専門手法を使い分ける
博物館マーケティングは、使命を起点として、誰に価値を届けるのかを定め、提供価値とその届け方を設計し、結果から次の判断を学ぶ経営プロセスです。そのため、一つの手法だけですべての課題を解決することはできません。自館が直面している経営課題によって、必要となる視点や手法は異なります。専門手法は、それ自体を導入することが目的なのではなく、経営上の問いに答えるために選択するものです。
| 経営上の問い | 主な専門領域 |
|---|---|
| 誰に価値を届けるか | STP |
| 社会からどのような博物館として認識されたいか | ポジショニング・ブランド |
| 社会やステークホルダーとの信頼関係をどう築くか | PR |
| デジタル上でどう接点をつくるか | SNS |
| 来館者が受け取る価値をどう改善するか | 来館者体験 |
| 一度来た人との関係をどう継続するか | 再訪戦略 |
| 施策が機能したかをどう判断するか | 評価 |
たとえば、「誰に届けるべきか」が曖昧なのであればSTPによって対象を整理します。一方、対象は明確でも、他の文化施設との違いや自館らしさが社会に伝わっていないのであれば、博物館のポジショニングとブランド構築が主要な論点になります。この二つは関連していても、解決しようとする問いが異なります。
社会や関係者との信頼形成が課題なら、広告を増やすことよりもPRの視点が重要になります。マーケティングとの役割の違いについては、博物館PRとマーケティングの違いで整理しています。デジタル上の接点形成であればSNS、実際の利用を通じて生まれる価値の改善であれば来館者体験というように、同じ「来館者に関わる課題」でも見るべき領域は変わります。
また、新規来館者を増やすことと、一度利用した人との関係を継続することも異なる課題です。後者については、博物館の再訪戦略で詳しく整理しています。施策を実施した後には、その結果を評価し、次の判断へ戻すことも欠かせません。
これらの領域は相互に関係していますが、すべてを同時に導入すればよいわけではありません。対象が不明確な状態でSNSを強化したり、提供価値が整理されていない状態でブランドをつくったりしても、個々の施策が経営戦略から切り離される可能性があります。重要なのは手法から始めることではなく、まず自館が解決すべき経営課題を明確にし、その問いに応じて必要な専門手法を選ぶことです。各手法は、使命を社会へ届ける一つの経営プロセスのなかで位置づけてこそ意味を持ちます。
結論|マーケティングとは使命と社会をつなぐ経営プロセスである
博物館マーケティングは、展覧会を宣伝することでも、来館者数を最大化することでもありません。広告、広報、PR、SNSは価値を届ける手段になり得ますが、それらを実施すること自体が目的ではありません。出発点になるのは、博物館が何のために存在し、社会に何を実現しようとしているのかという使命です。
使命が明確になれば、その実現のために誰に働きかけるのかを選択し、対象となる人々にどのような価値を提供できるのかを具体化します。そして、展示やプログラムだけでなく、価格や利用に伴う負担、アクセス、情報発信、人との接点まで含めて、その価値が届く条件を設計する必要があります。
さらに、施策を実施して終わりにするのではなく、実際に価値が届いたのかを確かめ、対象の設定、提供価値、届け方についての前提を検証し、その学びを次の判断へ戻します。このMission(使命)→ Audience(対象)→ Value(価値)→ Delivery(実装・提供)→ Learning(学習)という循環によって、マーケティングは単発の集客施策ではなく、継続的な経営プロセスになります。
したがって、「使命を損なうことなく、誰に、どのような価値を、どのような方法で届けるべきなのか」という問いへの答えは、市場の要求に使命を合わせることではありません。使命を判断の基準として届ける相手を選び、その相手にとって意味のある価値と届け方を設計し、結果から学び続けることです。博物館マーケティングとは、使命と社会の間に持続的な接点をつくり、その関係を経営判断によって更新し続ける仕組みなのです。
参考文献
- Gilmore, A., & Rentschler, R. (2002). Changes in museum management: A custodial or marketing emphasis? Journal of Management Development, 21(10), 745–760.
- Kotler, N., & Kotler, P. (2000). Can museums be all things to all people?: Missions, goals, and marketing’s role. Museum Management and Curatorship, 18(3), 271–287.
- Kotler, N. G., Kotler, P., & Kotler, W. I. (2008). Museum marketing and strategy: Designing missions, building audiences, generating revenue and resources (2nd ed.). Jossey-Bass.
- McLean, F. (1995). A marketing revolution in museums? Journal of Marketing Management, 11(6), 601–616.
- McLean, F. (1997). Marketing the museum. Routledge.

